これは、誰かのお宅へ訪問するケースでも当てはまります。呼び鈴も鳴らさずに、玄関を勝手に開けて入る人はいません。“ただ今、到着しました。すいませーん!お邪魔します”のチャイムを鳴らすはずです。同様にお客様の席へ伺った時にも“ノック”が必要です。これが「接客は言葉で始まり…」の意味です。具体的には「お待たせしました」「失礼しました」「遅くなりました、すいません」などの言葉があります。
一方、席を離れる時は、玄関でご挨拶をするタイミングに相当します。ここでも、黙ってこっそりとその場を後にする人はいません。「すいません。お邪魔しました」の意味をこめて、「失礼しました」「ごゆっくりどうぞ」などの言葉をかけてほしいわけです。これが、「…言葉で終わる」の意味です。
さてさて、呼ばれているお席に向かったら、お客様の頭上にいきなり手を伸ばして“ポン”と呼び出しランプを消しているスタッフはいませんか?このようなスタッフには、早速改めていただきましょう。最悪なのは、ランプを消しながら片方の手で箱を渡しているようなパターンです。お客様の頭上に手を伸ばすなど、もってのほかです。「うわー感じ悪い!」という印象でいっぱいです。ほとんどのお客様は声にださないだけで“やめてくれ!!”と心の叫びを連発しているはずです。
店舗にモニタリングに伺うと、「はやく呼び出しランプを消さないと他のスタッフが来るから嫌だ」という理由で、何がなんでもまずランプを消したいという言葉を多く耳にします。しかし、これは全く店舗の都合のよい言い訳でしかありません。私は、たった一言言葉を届ける手間をはぶくより、ほんの一手間をかけてほしいことを伝えています。不快感を与えることなく、ひいてはプラスの印象をもっていただけるための絶好のチャンスだからです。
少し説明が長くなってしまいました。残りは、次号でお話させていただきます。
なお、今回はおまけとして一日で接遇マナーの基本を習得することを目標に組んだプログラムを掲載しました。社内で研修を開く際のご参考にしていただければ幸いです。 |