アイコンタクトをテーマにする時、受講生の皆さんにこんな質問をします。
「もし、今日の講義で私が皆さんの目を一度も見ることなく話しをしていたとしたらどのように感じますか?」
受講生の反応は、こんな具合です。
「うーん。なんか感じ悪いです」「何かを話していても、聴こう!という気持ちになりにくいです」「あやしい感じがします」
本項を読んで頂いている皆様方も経験があるかと思いますが、自分の気持ちを伝えたい時、まさにここぞ!というタイミングでは、大きく身を乗り出して、相手の目を見ているはずです。言葉だけでは十分に表現しきれない、自分の内なる想いを瞳に託す訳です。「目は口ほどにモノをいう」とは、まさに言い得て妙です。相手の心の内側にもう一歩踏み込み、自分の想いをビビッと響かせるために、アイコンタクトは必要不可欠なアクションなのです。
でも、相手の目を不必要にジーッと凝視し続けることはタブーです。これでは、意思の疎通を通り越して、不快感と不安感を与えてしまいます。普段自分自身でも気付かない、心の奥底にある“秘密”を見透かされている気持ちになるからかもしれません。特別に親しい間柄においても、アイコンタクトを取り続けると、 10 秒もその状態を維持するのは無理だといわれています。
試しに受講生の目から片時も目線を外さずに話し続けてみて下さい。途端に受講生は困った顔になり、ついで妙な笑みを浮かべ、最後にはもうやめてほしいとギブアップ宣言をします。
(時間を十分に取れる研修であれば、傾聴訓練を行ないます。方法はいくつかあるのですが、相槌やアイコンタクトのない会話が、いかに互いのコミュニケーションを阻害するものであるかについて、実体験を通して感じてもらいます)
ちなみに動物の世界では、目と目が合うことは互いに戦闘態勢に入ることを意味するといわれています。もちろん人間の場合にも同様の意味をあらわすアイコンタクトがあり、時間を長めに取ることで、戦闘状態 ON のスイッチを押してしまうシーンがしばしばあります。「眼を付ける」などの言葉は、まさにこの種のアイコンタクトを意味しているといえます。接客時には、このことを踏まえながらアイコンタクトを取ることが必要です。 |