講義ではまず受講生の方へ3つの円を描いてもらいます。そして、それぞれに@泣いている顔 A怒っている顔 B笑顔を描いてもらいます。次にこの3つの中で、お店でお客様が何かお願いするとしたら、どの表情のスタッフに声を掛けてみたいかと質問します。
答えは明白です。やはり 3 つ目の笑顔ということになります。人間が持っている最も素晴らしい表情とは、ズバリ笑顔です。接客時はもちろんのこと巡回、待機時にも笑顔を届けられるように取り組んでいただきたい旨を研修では特に強調しています。
そうすると、次は決まってこのような質問が飛び出します。
「接客の時はよしとして巡回、待機時に、何もないのに笑うことはできません」
「負けているお客様の席にお伺いした時にも笑顔を出すのですか?」
「不良客の監視もしなければならない。ゴトチェックするのに笑顔で巡回なんかできません。そんなことをしているとなめられますよ」などです。
まず、最初の質問の回答から。
細かいことですが、私は「笑って欲しい」とはいっていません。あくまでも「笑顔を出して欲しい」といっているのです。もちろん笑った時の表情が“笑顔”なんですが。
もう少し詳しく説明しましょう。
「笑うこと」と「笑顔を出すこと」というのは、少し意味が違います。私はここでも質問をします。「皆さんは一体どんな時に笑いますか?」と。
受講生の答えが大体同じです。面白いことがあった時、楽しいことがあった時、仕事が終わった後のスキーのことを考えている時などです。どれにも共通しているのは、笑うという行為は、外からの刺激に対する私たちの一つの反応だということです。「笑う」ためには、そこに「何か」がなければなりません。
一方、「笑顔」というのはその逆なんですね。ポカポカと暖かく楽しい雰囲気を創りだすために内からの働きかけ、スタッフの方から発信していくもの、それが「笑顔」です。お客様のココロのアンテナ響かせるため、今度はスタッフの方が「刺激」になるわけです。
スタッフ一人ひとりが、巡回時にも「笑顔」を発信し続けることはとても重要です。これを継続していくことで、必ず「受信」してくれる人が出てくるからです。
受信してくれる人は、何もお客様だけではありません。まずは、スタッフ同士で送受信できるようになることが大切です。笑顔の受信をすると、ココロのアンテナがピピッと響いて豊かな気持ちになります。そうすると不思議なもので、次は誰かに発信したくなります。赤ちゃんの微笑みは、ついこっちも笑顔になってしまいます。イヤな感情もスーッと消化されて、豊かな気持ちになってしまうものです。この好循環のことを「ニコニコサイクル」といいます。ニコニコサイクルの存在こそが“感じの良い雰囲気のお店”を創るための条件になるのです。 |